人名用漢字の変遷・歴史

時代に合わせて追加される人名用漢字

日本の人名用漢字制度は、戦後の漢字政策と社会的要請の中で形成・発展してきました。​以下にその歴史的変遷をまとめます。

目次

1948年:当用漢字表の制定

1948年、改正戸籍法(昭和22年12月22日法律第224号)と戸籍法施行規則(昭和22年12月29日司法省令第94号)施行

戦後の国語改革の一環として、1,850字の「当用漢字表」が制定されました。これは日常使用に限定されたもので、名前に使えない漢字が多く含まれていたため、国民から不満の声が上がりました。

1951年:人名用漢字別表の制定

1951年、人名用漢字別表(昭和26年5月25日内閣告示第1号)

当用漢字では不十分との声に応え、「人名用漢字別表」が新設され、92字が追加されました。これにより、名前に使える漢字の幅がわずかに広がりました。

追加になった92字

1976年:人名用漢字の追加

1976年、人名用漢字追加表(昭和51年7月30日内閣告示第1号)

新たに28字が追加され、合計120字となりました。これは、名付けの自由度を少しずつ高める方向への第一歩となりました。

追加になった28字

1981年:常用漢字の制定と再編

1981年、戸籍法施行規則別表第二 人名用漢字別表(昭和56年10月1日法務省令第51号)

常用漢字表(1,945字)の制定に伴い、それに含まれない名前用の54字が「人名用漢字」に移され、計166字となりました。

追加になった54字

常用漢字になった8字

また、以下の漢字は常用漢字表に移りました。

1990年代:拡充期

1990年に118字追加になりました。

追加になった118字

また、1997年に「」、2004年に「」「」「」などが追加されました。

2004年:大規模追加

社会の多様化を反映し、2004年9月に488字が一挙に追加され、人名用漢字は一気に983字に拡大しました。

追加になった488字

また、2009年に「」「」が追加されました。

2010年:整理と再編

2010年、常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)

常用漢字表の改定により、重複する129字が人名用漢字から削除され、新たに5字が追加されました。この結果、人名用漢字は859字に整理されました。

追加になった5字

常用漢字表に追加になった129字

2015年~2017年:微調整

2015年に「」、2017年に「」が追加され、現在の人名用漢字は863字となっています。

現在の人名用漢字の位置づけ

現在では、常用漢字2,136字と人名用漢字863字の合計2,999字が名前に使用できます。これらは戸籍法施行規則第60条により定められています。

人名用漢字変遷の一覧

内容 追加・削除数 合計数
1948年 当用漢字表の制定 (1,850字/名前使用制限)
1951年 人名用漢字別表の制定 +92字 92字
1976年 人名用漢字の追加 +28字 120字
1981年 常用漢字の制定に伴う再編 +54字 166字
1990年 追加 +118字 284字
1997年 「琉」追加 +1字 285字
2004年 大規模追加(曽、獅、毘など) +488字 773字 → 983字
2010年 常用漢字改定に伴う再整理 −129字 / +5字 859字
2015年 「巫」追加 +1字 860字
2017年 「渾」追加 +1字 861字 → 現在863字

まとめ

人名用漢字制度は、時代の要請や名付け文化の多様性を反映して、段階的に拡大・整理されてきました。今後もさらなる社会変化に応じて、見直されていく可能性があります。

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