万葉仮名(まんようがな)と一字一音の漢字一覧

奈良時代に使われた日本語表記のための漢字表記法

万葉仮名(まんようがな)は、奈良時代に使われた日本語表記のための漢字表記法です。音を表すために漢字を借用した、仮名の起源をまとめました。

目次

万葉仮名とは

万葉仮名は、古代日本において漢字の音や訓を借用して日本語を表記するために用いられた文字体系です。特に奈良時代の和歌集『万葉集』で多用されたことからこの名称が付けられました。

万葉仮名は、漢字をその意味ではなく音に基づいて使用する「音仮名」と、意味に基づいて使用する「訓仮名」に分類されます。

万葉仮名の歴史

万葉仮名の使用は、少なくとも7世紀中頃には始まっていたとされ、奈良時代の『万葉集』や『古事記』、『日本書紀』などで広く用いられました。これらの文献では、漢字を日本語の音節に対応させて表記する方法が採られていました。

平安時代に入ると、万葉仮名を草書体に崩したものが平仮名として、また漢字の一部を取り出して簡略化したものが片仮名として発展し、現代の仮名文字の基礎となりました。

一字一音の万葉仮名一覧

以下は、一音節を一つの漢字で表す「一字一音」の万葉仮名の例です。音節ごとに複数の漢字が対応しており、使用者の選択によって使い分けられていました。

ア行
カ行
き(甲類)
き(乙類)
け(甲類)
け(乙類)
こ(甲類)
こ(乙類)
サ行
そ(甲類)
そ(乙類)
タ行
と(甲類)
と(乙類)
ナ行
の(甲類)
の(乙類)
ハ行
ひ(甲類)
ひ(乙類)
へ(甲類)
マ行
み(甲類)
み(乙類)
め(甲類)
め(乙類)
も(甲類)
も(乙類)
ヤ行
いぇ
よ(甲類)
よ(乙類)
ラ行
ろ(甲類)
ろ(乙類)
ワ行
ガ行
ぎ(甲類)
ぎ(乙類)
げ(甲類)
げ(乙類)
ご(甲類)
ご(乙類)
ザ行
ぞ(甲類)
ぞ(乙類)
ダ行
ど(甲類)
ど(乙類)
バ行
び(甲類)
び(乙類)
べ(甲類)
べ(乙類)

万葉仮名の甲類・乙類について

万葉仮名は、漢字の音を借りて日本語の音節を表記するために使われた仮名の原型です。その中でも、イ段エ段オ段の母音には、音声的な違いから甲類(こうるい)と乙類(おつるい)に分けられるものがあります。

この分類は、国語学で言う「上代特殊仮名遣(じょうだいとくしゅかなづかい)」と密接に関係しています。上代特殊仮名遣とは、上代(奈良時代)における表記で、現在の仮名遣いでは区別されていない音を、異なる漢字や仮名で区別して書いていた用法のことを指します。たとえば「き」「け」「こ」などの音が、甲類(口の奥で発音される)と乙類(口の前方で発音される)に分かれて記されています。

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